ステイトメント 彦坂敏昭 現代美術 絵画

現代美術作家 彦坂敏昭のステイトメント。
 
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僕の制作は、初めに「何がしたいのか解らない」という漠然とした失望感を認める所から始まる。 今まで僕は、生活していく上で多種多様な選択肢にぶつかってきたが、その都度YESとNOのどちらかを選択し、短期的な決着を繰り返し着ける事で、今僕が居る状況を決定してきた。 これは例えば、1番目のレイヤーではYESを選択し、2番目のレイヤーでNOを選択する。 3番目のレイヤーではまたNOを選択し、最終的に全てのレイヤーを重ねる事でようやく自分の輪郭を仮定できるのではないかという事である。

絵画を制作する上でも、見えているのか、それとも見えていないのかも解らない目の前にある風景を、2次元の紙の上に置き換える行為それ自体が、僕にとっては不明であって、僕は画面上でレイヤー状に与えられた選択肢に対し、際限なく決着を繰り返していく事でしか絵画を制作する意味を見出す事ができない。

実際には、風景画像をコンピュータで加工(スカスカの状態に)し、版によって画像を紙に定着させ、絵画のベースを作りあげる。このベースとなる画像が僕に対し際限なく選択肢を問いかけてくる。そしてアーティストはそれに対し、1つ1つ決着を着けていくのみであって、それこそが画面上での自由を獲得する手段だと思っている。

制作の過程は僕の作ったプログラム・ベースの上で自らシステマティックに進んでいき、絵画は着実に完成に向かって動き始める。

しかし、制作の途中でいろいろな物を見聞きし、それらに反応し密やかな衝動に駆られる事がある。 また、この画面上のモチーフをこういう感じにしたいとか、ああいう風にしたいという欲望が生まれ、気持ちがブレたりする事もある。 このブレや衝動、私的な意識がプログラム上のバグ・欠陥となり、ベースとなった風景画像を未知の風景へと転化させる事ができるのでないかと思っている。

そしてこれは日常に潜む風景の隠しステージなのかもしれない。

 

【隠しステージとは(Wikipediaより抜粋)】 ゲームクリアや特定の条件の達成、あるいはその両方を満たすと、通常とは異なるステージが現れる場合もある。 また、バグやノイズによって、制作者の意図しない異常なステージが出現してしまうケースも存在した。 特に話題になったのは『スーパーマリオブラザーズ』である。 上記の続編における公式の隠しステージは、この異常ステージへのオマージュという見方もある。

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